今月は「天風姤」(てんぷうこう)の話をしたいと思います。天風姤の卦得は「あう」で、人に会うということですが、その出会い方に特徴があるのがこの卦の肝となります。すなわち、姤は、予定を決めてから会うとかではなく、約束しないのにばったりあう、希望しないのにあう、好むと好まざるとにかかわらずにあうことをいいます。それを卦の象(かたち)では、一陰が初爻に生まれることで象徴しました。この一陰以外の爻はすべて陽爻であり、一番下の位置に陰が発生したという出会い方になります。これだけでもなんだか陰湿な物事の発生を予感させますが、さらにタチが悪いのはこの一陰爻が陽爻に負けないだけの力と勢いを持っているということです。運勢などに天風姤を得たら、はじめは気づかないほどの小さなほころびでも、やがて大きな問題に発展するので、日ごろからの備えや用心が必要である、となります。なぜ今月、この卦をご紹介したかというと、天風姤が6月の卦というだけでなく、ある事件にまさに符合する、言いえて妙の卦と思ったからです。その事件とは、山口県阿武町でおこった生活給付金の誤振込事件です。誤って振り込まれた金額が4000万円以上と高額で、それを一個人に振り込むという役所の間抜けさもさることながら、誤振込された本人が返金に応じないという事件の推移に世間は色めきました。ごく普通に暮らしていた人のところに、突然降ってわいたように高額なお金が入り込んでくる。青年は、これをチャンスとしてとらえてオンラインカジノで全額を使い果し、その挙句が、詐欺容疑で逮捕される。これを天風姤の運勢に当てはめれば、誤振込された4000万円が初爻に発生した一陰爻に当たります。そしておそらく本人も悪いこととはわかっていても、4000万円という目の前の誘惑(陰の力)に翻弄され、自らの人生を傷つけてしまいます。これが天風姤のいう、希望しなくても「あう」ということの意味であり、陽爻のなかに一陰爻が発生して陰の力が猛威をふるう厄介さと怖さといえます。天風姤という卦を考えるうえでとても参考になる一例だと思います。6月のあなたの運勢を掲載しました。ウクライナ侵攻やウイズコロナ、諸物価の値上げラッシュ、厄介なことがまだまだ続きそうですが、どうぞ元気にお過ごしいただけたらと思います。